未愛/葉leaf
をうまく導くのが僕の使命だ。磁場は既に設定され、僕たちは溢れかえる磁力でこの磁場を組み替えていく。
僕たちは互いの姿を与え合って、互いの意識に互いの存在を焼き付けてしまった。僕たちは互いの姿を奪い合って、互いの欲望に互いの存在を食らわせてしまった。意識にちらつく優しい晴れ間に呼び起される君の姿に呼びかけると、君は黙っていて、くるっと表情を変える。君は挨拶をしないし返事もしない。ただまなざしに静かに電気を走らせる。
君がいた過去と君がいる現在と君がいるであろう未来、すべてが君の香気で包まれている。柔らかく瑞々しく華やかで繊細な君の香気に僕は反射的に微笑む。お互いに微笑みで触れ合うこと、そこから一歩も前に進まず後ろにも退かないこと。この距離を厳密に守り通すことは可能だろうか。この安全な距離はとても壊れやすく、壊れてしまっためくるめく危機において、僕は君に再び産まれたての「はじめまして!」を叫ぶだろう、全ての明日にめがけて。
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