夜明けに蝶のとどく/即興ゴルコンダ(仮)投稿.8/こうだたけみ
真夜中
に何度も目が覚めた浅い眠
りと眠りの合間に呼び鈴が
かすかに聞こえたんだこん
な時間に宅配便ですのお届
けものは封を切ったら一斉
に飛び立った羽ばたいた部
屋中に音もなく降る鱗粉が
忘れたい夜明けを連れてき
たお早うございます
さらば
一粒食べかけてその気味合
いをお目にかけようと得意
気に口元へ持っていく手を
掴みこの人ですと叫んだ腕
を捻って後ろ手に回して身
動きのとれない満員の通勤
電車じゃ羽ばたけないし飛
べないし左様ならば
時計を
見たら午後二時だった冬の
日差しは傾いていた部屋の
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)