占い師/オダ カズヒコ
百貨店の前で
手相を見ているおばちゃんがいる
人の手の皺の数に
虫眼鏡を当てて
その人の人生まで
当ててしまうのだそうだ
いっぺんだけ
占いの店に行ったことがある
女とだ
四条通りから
新京極を少し北に上がった場所に
その店はある
占い師はぼくらを見ると
どういうご関係?
と訊いてきた
ぼくらの関係を見抜けないほど
この占い師の目は曇っているのか?
何もかも知り尽くした関係だよ!
そう言ってやると
占い師はびっくりしていた
隣に座っていた女もびっくりしていた
ぼくはがっかりだ
期待すると大抵のことはがっかりする
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