無人島/オダ カズヒコ
どういう訳かぼくは無人島にいた。目を覚ますと海が目の前に広がっており、蒼空を仰向けに見ていた。体が動かない。足がすっぽりと地面の奥に深く突き刺さり。両腕の先に葉っぱが生い茂り、赤い実もなっていた。小鳥が肩に乗り、美しくさえずっている。合コンの帰り道、女の子に無理やりキスをしようとして、引っ叩かれたところまでは記憶がある。その後が問題だ。ぼくは真夏の海辺にいる。人の気配がない。ここは無人島なのだ。このまま地面に根を張り、仰向けに空を見上げ、夜には満天の星がぼくの頭上に広がり続けるだろう。それ以外にこの先ぼくのすることは何もない。可笑しな話だ。百貨店のマネキンだってもっと色々することがあるだろ
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