大層な砂利銭/
北井戸 あや子
なもんに金払うなら自分に使うほうがよっぽど幸せになれるじゃないか、と
あまり捻りの無い返事を返したその瞬間
信じるのに金がいるのは人間相手だけではないという事実が
割れるほどに研ぎ澄まされた泣く風と共に突き刺さり
たったそんな事がとてもかなしくて
きっと私は一生この行為の意味を理解できないんだろうな、と
そう思う傍らで、カラカラと楽しげに滑り落ちていく五円玉を
だんだんピントがずれていく両目で見届けていた
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