小林/北井戸 あや子
 
小林、と書き
こばやし、と読む
こりん、と呼ばれた可愛い昔
しょうりん、だけは辞めておけ
寺を足したら御法度だ

言ったが最後
寒空の下、原付に乗せられ
安酒を買わされる

彼は、こばやし
こばやし、だけに小囃子
面白可笑しく生きている
時にはその生き方さえも
ネタに走って死にかける

それでも笑って
帰ってくるね
散々に、かなしんでやろうと企んで
安酒を買ってきたのに

こばやし、お前みたいな奴は
ずっと笑っていてくれよ

嫌だね
そう舌を出して笑う

こばやし、お前がたくさんいたら
楽しすぎて、まともに死ねそうにないよ
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