進歩ゆえの退化 1/無花果
最近は
テレビから流れる宣伝が多くなった
もう何回も聞いた
聞き飽きた
近頃の若い世代は、
またそうでなくても
一度依存してしまったら
もう手離せないのだろう
歩きながら
車を運転しながら
誰かと話しながら
それを触っていないと生きていけない
そんな人間が
社会という大通りで溢れるのも
時間の問題だろう
私はとにかく
それが嫌いで
人前でそれを触り始める
人間が嫌いで
でも子供心に
これが欲しくて
持っている人が
羨ましくて妬ましい
だけども
我慢できない自分が嫌いで
そして、
私も、
私の嫌いな人間みたいになることが
嫌で嫌で仕方がない
欲しいけれど
求めたら負けだという気がする
欲しいけれど
きっと私も
自分の嫌いな人間みたいになってしまう
沈黙の時間の逃げ道を勝手に作る
私はそれが一番大嫌いだ
みんなが首を下げて
無機物に目が釘付けになっていて
だらしなくて妬ましい
そんな空気が私には
一番
辛くて仕方がない。
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