日々の歌/大島武士
三年半前からやり直したいと
タイムマシンに乗っかって
太陽の向こう側
黒い宇宙に放り出される
そんな悲しい夢で目が覚めて
なぜだか優しい気分になる
そんな不思議な朝もある
人がひとりで人を想う時
人は本当はひとりではない
ただそこにある日々の中
冷たい風と
雲間からのぞく光に
目を細めて
少しだけ満たされる
自動販売機や通りゆく人々が
短い一冊の本に見え
「さっ」と読みきっては
人に向けて放つ言葉を探す時に
小さく心は微笑んでいる
太陽の向こう側でも
人をずっと想い続けて
放つ言葉を貯め込んでいた
ずっと太陽に照らされ続けて
ただ世界と混じり合えば
からっぽのまま満たされている
そんな幸福に
想いを馳せて眠りにつき
繰り返していく日々の中で
人をいつまでも想い続ければ
人はいつでもひとりではない
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