優しさのお返し/komasen333
 
誰かに優しくしてもらう。
優しさのお返しをしようと思う。

けれど、
その時にはもう
その誰かはいない。

どんなにお返しをしたくても
もうお返しはできない。

日々は流れて
歳月は重なって
人生はすれ違っていく。

赤の他人なのに
あんなに優しくしてくれた。
家族のように優しくしてくれた。

いつかお返しをしようと思っていても
その「いつか」を先延ばしにするばかりで
きっとお返しをしようと思っていても
その「きっと」を後回しにするばかりで

誰かに優しくしてもらった。
その記憶は思いもしないタイミングで蘇って
「なんとかしてお返しをしたかったな」
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