可視光線/大島武士
 
目を凝らすことで
見失っていったものたちを
再び見出す時を
夢見て生きたい

少年の日に抱え込んだ
得体のしれない何かに駆られて
夜通し誰かと語りあっては
ひたすら答えを求め続けて
天の岩戸を閉ざしてしまっても

人をひたすら思い続けて
届かない想いに胸が痛む時には
晴れた空を覆う岩戸から
失くした光が
優しい旋律のように
ほんの少しだけこぼれ落ちるから

幼い日に 確かにそこにあったものを
閉ざした岩戸の向こうに感じるから

ただ 懸命にあろうして
自ら絶望を抱え込んだとしても
僕らが永遠に何かを
失う事などありはしないから

いつの日か
自分のずっと奥から湧き上がる
軽やかなリズムで踊り明かして
岩戸の向こうに眠るものを
鏡を持って呼び起こしたい
自分の奥から取り出した鏡で

大切な胸の痛みが
どこか悲しい歌声のように
瞼の裏に浮かび上がらせる
僕が決して失くしはしない
岩戸のずっと奥からこぼれる
今 僕が求める光




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