救急室3/オダ カズヒコ
 



朝から、あおぞら総合病院は混み合っていた。八時十五分。既に気温は二十五度まで上がっている。受付開始は八時二十分からだが、蛇行する人々の列が、今にもあおぞら総合病院の外側にまで溢れ出そうだ。

「受付される方の最後尾はこちらです!」

黒縁眼鏡でスーツ姿の小柄な青年が、大きく手を挙げて、患者を誘導している。羊のように誘導に従う患者の列。実に秩序正しく、割り込みなどのマナーを失した行為は一切ない。

ぼくは財布から保険証を取り出し、列に並んだ。八月十四日。お盆の真っ只中に、病院がこんなに混むなんて思わなかった。見たところ、八割くらいの人はどこが悪いのかさっぱり見分けが付かない。
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