不可能な交換/オダ カズヒコ
そこに田村がいないか探したが、助手席ののぶ子は手鏡でルージュをひきながら、この先のラブホテルに早く行きたがった。
∞
ネズミは湯気を立て、便臭のする息を吐き散らしながらオリビアの時報を鳴らし、のぶ子の顔を見つめた。
ネズミは明らかに発病している。
明治通りに面した西早稲田の古い3階建の執務室のテーブルの上で、のぶ子はネズミの腹から半分はみ出た留置所の一部と田村の半分を引きずり出した。田村は白目を剥き仰向けにソファーの中に倒れた。のぶ子は服を脱ぎ捨てると田村に股がった。留置所の先端がのぶ子の中に入る。田村の腰の上でのぶ子はゴマアザラシのように目を瞑った。
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