太刀洗の道/
服部 剛
はらはらと、風に揺られて
前方に、無数の枯葉等は舞い
鎌倉の湿った土に降りつもり…
旅人はぬめり、ぬめり
幾世代もの黒ずんだ枯葉等を
踏み締めてゆく
両側の
崖と崖を削った、一本道の切通(きりどおし)
時折、背負った荷を下ろし
岩壁に浮く
顔の無い仏に、頭を垂れる
道の傍らを流れる
太刀洗(たちあらい)の水の囁きに
耳を澄ます、旅人は
荷を背負い
ふたたび歩き出すだろう
夕陽に照らされ降りつもる
枯葉等の呼ぶ、あの切通の奥へ
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