忘れ物/オダ カズヒコ
ホテルの朝
女はパンツも穿かずに
うつ伏せに寝ていた
夏になる
少し前のこと
昨晩
勢いにまかせて女を抱いたが
避妊を忘れた
女の中には
俺の残した
幾つかの忘れ物が
まだノコサレタままだろう
ドウセハラマナイ愛だと
なんとなく思った
しかし俺はこの女についていったい何を知っているだろう?
こういった自問は
愚問だと知っている
しかしなぜだか問わずにはいられない
女が汚くみえた
あれほど美しかった昨晩の彼女も
窓辺の夜景も
この這いつくばった世界の
押しつぶされた重みに
耐えられない
気分は最低だった
ところで
この女
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