白に赤/這 いずる
 
ぐったりと身を任せる
その体はじんわり痛んでいく
触るたびに鱗がはがれ

痛ましく考えていた、そのはずで
さわってはいけない、そのはずで
ああどうして、と水槽の外で息をついていた、そのはず

君の汚れてない純白の尾がなびき
僕のつまらない肌色の手がそれを追う

そういう遊びも
想像の上でしかなかったのに

君のゆらりとしたその姿に手を伸ばす
そして、ちょんと、触れた
触れてしまった

その白魚の手には
君の冷え切った新雪のような手には
赤い花がさいていた
真っ赤な斑点が

つい魅入られた
悲しげな目を横に流し
今度はぎゅうと君を引っ張り込んで手を握り
鱗を引っぺがす

その赤と君の白がとても綺麗で
ぐったりとした君がとても綺麗で

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