氷/葉leaf
 
いると、反原発団体の人たちが演説をしていて、甲状腺がんの発生数など、福島はこれだけ危険な状況にあります、と幾分偏り誇張された内容をスピーカーで話していた。私はその内容に同意したわけではないが、そこで何か自分がまとっていたものが破壊されたかのように感じた。気づいたら私は嗚咽を漏らし泣いていた。自分がこれまで携わってきた業務の数々の劇が一気に押し寄せてきて、そしてさらには、自分の町が原子力災害によって被害を受けた事実が噴出してきて、私は泣くことでしかその奔流に行き場を与えることができなかったのだ。放射性物質による汚染との戦いに私は疲弊しきっていた。仕事をするにあたって自分の感情にまとわせていた鎧が自然
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