つり革と病院/オダ カズヒコ
 


ペンギンみたいに
体を凍てつかせながら
通勤電車に乗っている
つり革の輪っか
まるで手錠みたいだ
一度そこに首が通らないか
試してみたことがある
猫じゃあるまいし
通るわけもなく
誰が触ったかしれないあの輪っか
汚ねえったら
ありゃしない
あんなもん
公共の場所にぶら下げて置くんじゃねぇ

仕事だの労働だのが
鬱陶しい朝
会社じゃ真面目で通っている部長さんが
女の子のスカートの中に手を入れた
満員の電車じゃ
間の悪い場合もあるし
部の悪い場合だってある
女の子のスカート丈だって
太腿の半端なく上の方だ

人生とは恐ろしいもので
行き着く場
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