クライング・ミス・デイジー/角田寿星
 
りたい えーん
たあくんのベビーカーに乗せてよ えーん
この服じゃいやだよ えーん
ごはん食べたくない えーん
ねむたいよ えーん
でもまだ遊びたい えーん
ひとりはさびしいよ えーん
どうしてわかってくれないの えーん
この気持ちをどうしたらいいの えーん
つらいことばかりだよ えーん
今までがまんを重ねて傷つきながら生きて
毎日の生活には追われてばかりで
声なき声はいつも闇の中にすいこまれて
何故泣いているのかもわからなくて
ただ ただ むなしさとかなしみだけが
この身を襲うよ えーん

そうなんです 父さんも母さんも
疲れはてて傷だらけで
声さえあげることもできずに
ずっと前から泣きつづけて
いつしかそんな境遇にも慣れてしまって
ユキちゃんは そんな両親の背中を
そうです
見ていたんです

しわくちゃで洟たれの
ちいさな花に
そっとキスをしました

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