宇宙を盗撮/藤沢
薄い雲が空を覆う秋。
少女のそれが頭を覆う秋。
イヤホンの内側から耳を攻めてくる。
猫よりも愛らしい声が聞こえたからつい詰め寄る。
風に背中を押され勇気をもらい対価を渡す。
山は染まり透明な空気をさらに透明に魅せる。
耐えきれない今日に耐えて自暴自棄。
振り回すのは斧みたいな飴粒、砂糖菓子の弾丸。
失うものも無い夜。
失ってばかりの流れ星。
冷めることのない、から冷めて数年。
うなされる悪夢。
思い出される遠き日に位置付けた思い。
そっと閉じるアルバム、目蓋。
他人の断片で作り上げた一人分の身体を持った自分。
他人の受け売り。
他人の受け売りを売って生活を舵取り。
一人で過ごす流星群の夜。
頭上で死んでいく姿。
ミサイル。
他人と他人の干渉に干渉。
微笑み返す時、八重歯が光って流星群。
宇宙を盗撮する。
それもすごい角度から。
素早く、そしてさらに誰にも気付かれないように。
社会から目を閉ざされたとしても今ならばきっと。
宇宙を見たかった。
下から、あるいは。
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