夜の岸/北井戸 あや子
こころには
触れる事は叶わない
ぼんやりと紺碧に浮かぶ
あの星明かりが
じんわりと
白けゆく空へ
輪郭を溶かしていくように
ごく当たり前に
こころはきっと
触れられる事を拒むだろう
手を伸ばしても
届かないのは当たり前で
あなたのこころに
触れる事は出来ない
ぼくのこころも
誰も盗み出す事は出来ない
分かち合う事は出来ない
だけど
繋いだつめたさは
あたためあえる
その奥に
どんなこころがあったとしても
気休めの背中合わせで
教えてもらったぬくもりは
とても儚いものだけど
あなたがいなければ
きっと僕は知る事も出来なかったんだ
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