竜/竹森
 
異国の空を飛翔する一匹の竜の軌道に同調して、その大樹の枝の一本は静かに幹から伸びていった。枝の数は竜の数。竜の数は異国の数。無知な子供が遊びでその大樹の枝の1本を折れば、一匹の竜が、人知れず、異国の荒地に墜落していく。大樹の幹だけが、決して揺るがなかった。
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