実り/葉leaf
悪は一つの矛盾した実り
弱くふるえている果肉を守るために
幾重にも重なった硬い果皮
善であることは実ることを拒絶すること
果肉が傷ついても
それに耐え続ける強さがあるということ
悪は弱いから傷つくのに耐えられず
自らの内部の構造を充実させていくために
内部が沢山の光によって攪乱されるのを避けるために
初めから傷つかないように果皮で守り
どんな迫害をも笑い飛ばし蹴り飛ばす
本質的に強い悪
内側に弱い果肉を持たない果皮だけの悪は
本当の悪ではない
それはただ衝突の機能を持つだけの
潤いも内部もない害でしかない
悪として繊細に実っていくか
善として実らず傷つき続けるか
害として空疎であり続けるか
私は悪としてどこまでも内側の構造を熟させながら
善や害とも共に響きあい
社会から降ってくる無数の刃を果皮に摂り込み
果皮と果肉とをどこまでも流動的に交換し続けている
やがて実りが矛盾でなくなる日まで
内側の弱さと外側の強さがもはや同義になる日まで
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