<はるか>/nonya
凍てついた夜道で
640年前のベテルギウスの光を見上げながら
今日は星が綺麗だね
って僕のポケットに手を突っ込んでくる
見えないサソリから
ただ逃げ回ってばかりいるとても臆病な僕を
捕まえてくれるのは
君しかいないって思い込ませて欲しい
凍てついた暗闇の
一番端っこから解き放たれたまっさらな光は
無意識の荒野を抜けて
未だに僕を歩ませてくれている
時々僕の隙間から
洩れてしまうその光を皮肉な薄ら笑いだと
観客は言うけれど
詩のつもりなんだよ一応ね
君の手の冷たさが
自分の中の熱を思い出させるから
少し恥ずかしい
僕だって熱はあるんだよ
ただ語ると嘘っぱちになっちゃうからね
ふたりで黙りこくったまま
<はるか>を見上げていちゃ駄目なのかな
ふたつ白い息を並べて
<はるか>の欠片で創られた体を寄せ合って
寒いね
ってポツンとつぶやく君の瞳の中に
<はるか>を見つけてしまった僕は
もうとっくに
捕まっちゃっているのかもしれない
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