17歳だった_ Delft/藤原絵理子
モノクロームの写真に 影だけが見える
真珠の耳飾りが 揺れる 泣いているのに
あたしの瞳は 無垢な少女のように
耀いている 嘘をついている
アンリエット… きみの墓は 毀たれた
あたしは 17歳だった 暗い心の深淵に
誰かの泣き声に目覚める 朝の光は
ふと 穏やかに その悪夢を
「怖がる必要はない」 彼は言った
鈍く光る 鎌の先を見たとき 知った
煌いた朝露は 真昼の陽光を見ることはない
憐れんでくれなくても よかった
あたしは 彼女に 恋してただけ
夜は 月の光よりも強いのだから
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