母八十二/
たま
遺影はコピーでいいか
家族葬できるほどの金もなく人もなく台所(キッチン)葬でいいの
生活保護が頼りの喪主に財布を見せてと窓口のひという
切符のような落ち葉舞う無人駅帰るひとのない始発駅
来年の話は鬼が笑うと母まだこの世に籍残す
灰色の雪雲かたく口閉ざし母の寿命は語らず
永遠はあるわけもなし来るわけもなし母ひとりネコ一匹
大きな数字のカレンダーがほしいと母の声十二月
森々(しんしん)と降る雨の街ひととイヌ流されて海の森に帰る
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