波とオコジョ/藤鈴呼
 


添い寝する ぬいぐるみが
生きているような 気がしていた
少女時代

今じゃ この熟語で 
足の長い女性達が 浮かぶように
印象は 変わる

あんなに 可愛らしかった兎が
タオルの如く ごわごわになり
首にまいた マフラーと 同位置で
微笑んで居る

それでも 巻き付いたキツネは
離れない
未だ 化かして いないからね
馬鹿にした風が 吹き抜ける町

狸のような太鼓が ポンポン響く
余計な贅肉ばかりを蓄えた腹を撫で
その手で頭まで何故撫ぜる

気持ち悪いと三歩下がって散歩して
くるり踵を返す途中で蟻に出会った
巣穴まで あと 何軒ですか

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