Lonely/桂
る
稼働しっぱなしの映写機
瞼を閉じてそれを覆うと
一本の枝に誰彼構わず実る果実達がスクリーンに映る
本音は誰もがあの頃に戻りたい
壁についた無数の古傷をなぞると
今でも痛みが全身を駆け巡る
もういいだろ?
お互い十分傷ついた
無理にこじ開けなくてもその時が来れば 死神がたるんだ紐を引っ張ってブラインドをあげるかのように
いとも容易くこの壁を取り払ってしまうのだから
きっとそれぞれの独房には
ホテルの客室の引き出しに聖書が入っているように孤独が潜んでいて
誰もが乾いた指でページをめくって
それを朗読する
死が全ての者を繋ぐまで...
立ち上がって 右手を壁に置く
壁を一枚挟んだ向こう側で
きっと君は左手を重ねてる
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