Lonely/桂
Lonely
二つの水晶体を通して世界を見る
受刑者がアクアリウムの板を挟んで面会人と向き合う気分になる
おでこを付き合わせて熱心に話し込んでみても
どこも触れていない
頭に固定されたヘッドホンから流れる音がうるさく鳴るから
君の話なんか聞いてない
頭を掻きむしって抵抗しても無駄なこと
あと数分経てば俺はこの場から立ち去って
また君を置いてけぼりにするだろう
いつものことだけど 慣れないね
分かり合える直前で手錠を繋がれ ちっぽけな自意識に戻っていく
消灯時間が過ぎると独房の外から孤独に怯える死刑囚達のすすり泣きが聞こえる
なぁ そこにいるんだろ?
壁を一枚
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