にがいしわぶき(九)/信天翁
 
   ヌードになった 庭木の梢に
涸れた寒気の 往復ビンタをくわせ
   そのうえ 独り暮しの老残に
  重い散策さえも 強制するのか
   にびいろのマントをまとった
        年積月の将軍──
   あわれだなぁ さみしいなぁ
キジバトが浪花節を 唸る街なかで
灯油販売車の奇声が近ずく・・・・
救命救急車の難語は遠ざかる・・・

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