Era/
 
Era

惚けたように突っ立ってたら
怒鳴られて 渡されたトンカチ
わけもわからないままに
今に釘を打ち込む
手の平にできた血豆が潰れて
放り投げたトンカチ
通りかかった先輩が拾って
顎をしゃくって足場を指す
鉄の足場に無数にこびりついた
赤黒い染み
重い腰をあげて先代達の偉業の上に立ち過去を見下ろす
地平線まで果てなく続く不自由と
抗い続ける人々のストーリー
没する前にいっそう燃えあがる夕日が熱く語るから
手つかずの時代にまた 一心不乱にハンマーをふる若者の影が伸びる


電柱から電柱に電線をかけるように
人から人へ 漏れなく時のワイヤーはかかる

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