小さな猫のおはなし/藤鈴呼
 

気になって 仕方ないのに
聞けないのです

そして 仕方の無い 気持ちばかりが
この先 えいえんに
続いて しまいそうで
そっと 目を閉じた

チクチクチク
これが ミシンだったならば
こんなに 痛まぬものを

違うの
痛む記憶も 魅せないで
一気に ガッ と 
縫い上げちゃうの
だからね
ギャッ と 叫ぶ時間も
残されては いないんです

ジグザグでも
凸凹でも
あの 轍のように
タイヤが ゆっくりと
埋め込まれたならば

次のステージへ
進めそうな
気がしているんです

いえ 進め、 と
背中を 押してくれるような
そんな気が するんですよ

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