出逢ふ秋に/這 いずる
紅葉めいた赤いカーディガンが目に灼き付く
君はおそろいの魔の手にかかつてゐるようで
単純に安心していゐる
これにどんな効力があるだろう
さうしてどんな鎖になると言うのだろう
単純に安心した君は、一つの永遠のやうに指輪を握りしめて
秋風に吹かれゆれる君の赤
高い澄み渡った空にうっすら白い息を吐き
ぼんやりとする
僕はこんなにも不安障害で
未来を信じられないでゐる
寒さとは違う
終わりの予感に震えた僕と
喜びを握りしめてゐる君
:秋と出会いを題材に
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