西麻布の交差点にて/番田
誰もいない街で
誰かのカラオケの声が聞こえた気がした
聞こえた 言葉を まるで
探しているかのように 立っていた
それはなぜだろう 僕は
街を歩いた それは
街を行く若者の無意味な話のようだった
まるで僕が 緑色の本を読んでいる思いで
エロ本を一冊手に入れた
目が痛かった そして
頭痛の中で華奢な体の女の境遇だとかをぼんやりと
女の身になって 考えていた
駄菓子屋で水色のガムを買う時 考えずに
誰かと二人で それを分け合うように
その紙袋を空に向けて開封している季節の中で
帰りの電車の窓を見ていた
行く人はなぜ歳を取るのだろう
六本木ヒルズを歩きながら
思い出す ビルの 建設中だった頃の柵を
生まれたときから 生きていたはずの自分を
すでに生きていた人の隣で
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