純粋/永乃ゆち
生きていく上で純粋などは
この世の中では
欠片も意味がないのかもしれない
理不尽を引きずりながら
圧迫された空間で
じわじわと絞まってゆく首
それが社会の総てなのかもしれない
けれども
コンビニの袋をぶら下げ
重い足取りで帰る時
ふと見上げた月があまりに美しく
私は許されたような気持ちになった
そしてそれはまるで
いつかなくした純粋が
輝いているかのようだった
純粋が優しさだとして
純粋が正直さだとして
それはいつか煌めく時が来るだろう
だからいつも
強さとは何かを
心に留めておかなければいけない
この生き辛い世の中で
一瞬煌めく、純粋の為に
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