鈴/竹森
 
春夏秋冬と指折れば余る
小指のか弱さと引き寄せ合ったのだろうか
団地の片隅の淡い木陰に埋もれながら
小鳥が一匹 翼を広げて死んでいた

この空に雲があったとしても
自らの質量にも気付かないくらいだから
きっと僕らにも気付かないだろう
腰を下ろすと緑の傘が遠ざかるけど
青空との遠近は変わらなくて

草に埋もれた土が湿っている
風が運んだのは 洗濯物のくたびれた匂いか 小鳥の体臭か
青ざめたお前の地肌には 流れてもいない血管が描かれている
爪を刺せば いとも容易く沈み込んでいくだろう
血は傷口から緩やかに まるで 黒い真珠を 結晶させるだろう

とにかく何か
言葉を
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