木綿に描いた鳩ひとつ/藤鈴呼
のだ
輪にした クラフトテープで
お前は 何を 作るのだ
思い出か?
新しい カゴか?
その中に とっときの 蒼い鳥を 閉じ込めて
注連縄代わりに 糸で縫うのか?
何処を?
唇を?
そんなこと させるか
呟きながら 手元ばかりを動かした
白い雑巾が 赤く染まる
我が思いの 濃縮した液体が
一滴 文様と 成り果てたのだ
どうだ 似合うだろう
そう言って 笑う姿が見える
ええ 似合って いますよ
お前ならば きっと
横で 笑顔を 灯すだろうな
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