懐中?海藻。/百均
んとか、
他に乗ってる人たち様子を見てこよう。長旅で疲れた腰を上げ、
右手をつり革にかけようとした。しかし、つり革は天井であり、
ここは可愛いセスナ機の狭い後部座席なのだった。
飛行機が旋回するたびに地面が逆転すると。鳥たちは地面を這い
つくばって、地を這った、這いました、そして立った、彼らは僕
達と同じように。一瞬空が凪いだ。口が空いた。クラゲが雲に落
ちた。鯨が鳴いた。溢れる塩が雲となり氷の雨を降らせた。プロ
ペラに当たる、氷晶と、雷、そして僕の凍った爪先と、犬歯と、
腰に刺していた刃で、窓を切り裂き、フロントガラスを蹴破って、
庭から落ちた猫のように身体を右方向で回転させながら空へ、空
へ、西に雲が傾き、東から空が崩壊した、続きは!続きは!と原
稿の仕上がりは!と急かす観客の待機とプレッシャーを背負い、
作家は空から崩れ落ちた。足が!足が!手が!腕が!凍った刃を
へし折るように、クラゲが、シャチが!鯨が!マンモスが!光が! 光が! 光が!
光が!
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