詩花/島中 充
 
薬を与えられ
曝し首にひとつひとつ丁寧に並べられて
菊は咲く
結ぶ露にさえ重すぎて
添え木に縛られ 立ったまま咲いている

花の高さにあなたは背伸びをして
「真夜中にも美しく咲いているのね」
どうしてその言葉が私には悲しいのか
「苦い甘さなんだ」
わざと食用菊の話ばかりで 
私は答えた

花は花の用を失うまで花に作られ
言葉は言葉の意味を失うまで比喩にうたわれ
棺を埋める花々のなかで目覚め
詩を愛する日々に
辛いものばかりでうなだれる

そうして 私はあなたに捧げる 花をだいて
まるで墓所に行く淋しさだ
口にすれば嘘になる思慕をうつむけたまま
血のような言葉を しかたなく かくまっているのだ
比喩なんかいらないと

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