午前1時/松本 涼
 
午前1時
上手く眠れずに

煙草を吸おうとして
小さな丸い換気口を開けると

コォー コォー
とガランとした舗道を
駆ける風の音がした


清らかで濃密な
午前1時の音だ



暗い部屋の中に浮かぶ
ビデオデッキの時刻を

眺めながらその音に
耳を澄ませていると


辺りに深刻な
気配が緩やかに

滲み始めていることに
気づいた



私は慌てて
目に付く限りの
ユーモアを掻き集め

抱えられるだけ抱えると
布団に潜り込み
瞼を閉じた



やがてどこかで
猫が笑い出した



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