悩める王子様(だーれも知らないシリーズ4)/森川美咲
 
だーれも知らないある国に
一人の王子様がいました
王子様はいつも
国民の幸せのために
自分は何をすればよいかを
一生懸命考えていました

国民の幸せのために
毎日毎日
いろんなことを悩んで
いろんなことを決めて
いろんなものを作って
いろんなものを壊していきました
王子様は毎日とても忙しく
国民のために働きました

例えばある日王子様は
さびしそうな少女に
面白おかしい物語を教えてあげました
不安そうな青年には
美しい音楽を聴かせてあげました

物語と音楽は幸せへの近道
王子様はいつもそう信じていたのです

王子様は知りませんでした
王子様が立ち
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