「あさがお」2014.08.13 (一〇首)/もっぷ
 
くれないの実が探されるふゆの日にもどって会いたいきみの最期に


夏ならば写真のなかできみ笑うふゆなら息せぬきみ棺のなか


泣いたって肩に置かれぬ手を想いあたらしい猫はわが手に要らぬ


真夏の夜おやすみなさいを言うあての無いことに気づくきみとわに眠る


夏と赤きみの好んだ日と色はいまみあげてる百日紅かな


白鳥の水面下での忙(せわ)しさはきみにもう無い脚のやること


ニッポンの夏のおボンが解けぬまま日本人をやっております


この年は梅雨明け十日を裏切って信じ切れないキュウリの素性


あさがおは空に焦がれてあおを真似そらに捨てられ身投げはじめる


お線香簾打ち水夕涼みスイカの載ったちゃぶ台知らず


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