鳴 動/田代深子
 





後頭部のかさぶたかきむしって
かきむしってはじき出したコンテンポラリー都々逸 雷鳴のごときフレーズ
こいつをひっさげ天京ツアー 俺たちの前で
広大なクレーターは激揺れ 無音だ
無音が
おまえの肥大しちまった心臓をかみつぶす 聴けヨシアキ!
壁を駆け昇り天井から宙返り戸を蹴りつけてスロープにこけまろぶ ランチカートに激突しいつもの昼飯が跳ね上がる 艶やかなプレーンオムレツ
軟らかきゼロGともに漂う ああ
懐かしいおふくろのオムレツ 鳴りわたる風
あのときも俺は走っていた
俺の耳の中ではまだ真に新なるフレーズが爆竹のごとし 火をつけて投げるんだ 涙をつめたビール
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