海へ行こう/大島武士
あらゆる忘却は
ゆっくりと進んでいって
人生の上り坂と下り坂の数は同じで
忘れた頃に
大切な事を思い出すから
海へ行こう
世界平和の為じゃなくて
明日の自分の人生の為に
新たな何かに耳をすませに
友達をみんな置いて
良く晴れた そんな休日は
どの瞬間にも
誰かの作った音楽は
聴こえてこない
心臓の音と
自分自身の人生が
音楽になって聴こえて
波の音と溶け合うから
海へ行こう
素敵な休日に
あわただしい暮らしの中の
苦しみをそっと置いて
人生の上り坂と下り坂の数は
ずっとずっと同じで
忘れたくない思い出も
忘れてしまいたい大切な事も
心の奥に刻まれた
とても優しい傷跡も
大事な時には思い出すから
優しい波音に
喜びを飲み込むのではない
失意と悲しみを飲み込む為の
「真実の坂」を見つめに
自分自身の歌を歌って
晴れた日は一人
海へ行こう
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