天使/大島武士
鋭い疑問を置いてゆくばかり
それでも微笑んでいたいと
誰かを微笑ましたいと思い
天使でありたいと望んでいるから
「この地上で この宇宙で
喜びと悲しみの量は
いつでもずっと一定なのかい?」と
そんな堂々巡りの問いかけを
一人 気の抜けた音楽を聴いて
苦しくならないようにほぐしてしまえば
そんな気分をノートに書き留めて
ただ記録として残してしまおう
この宇宙で喜びが
悲しみよりほんの少しだけ
増えたらいいなと思いながら
血で血を洗い
優しさで愛を奪い合うこの地上で
どっちに転ぶか分からなくても
ただ願って残してしまう
ただ願って
記録を残すんだ
二十一世紀のある夏の終わり
少し老けてきた
なで肩の痩せた天使に
神様が与えた
そんな使命
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