天使/大島武士
大人になってもう一度
天使になりたいと
思い続けた夏の終わりに
夕方に少し雨が降り
涼しい風が吹いた休日に
ただ庭の草を抜く手を休め
一人きりの部屋で
ほうじ茶を淹れたんだ
思いやりたい誰かを
どう思いやればいいのか分からないで
神様に地上に使わされたわけも
正義もいよいよわからなくなって
「美しいものが正義だ」なんて事も
軽々しくは言えなくなってきて
鏡に映った自分を眺めて
少しすれた笑みを浮かべている
「簡単に出てこない答えを突き詰めたら
本当の正義が見えてくるのかい?」と
自分の中の神様に問いかけるけれど
神様はいつでも刃物のように
鋭
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