季節/葉leaf
 
痛くなり、発熱し、私は会社を休んだ。このとき、私の身体は、たった一つしかない時間というものに明確に足跡を残した。たった一つしかない時間というものに明確な周期を載せた。それは人工的な計画から雨滴を注がれることにより、自然の容器に湛えられた溶液が波立ち、その波が描いた一つの軌跡だった。風邪は身体の季節である。自然の季節のように不動でもなく、社会や自己の揺らめきにより伸縮自在に変化するが、それはやはり一つの季節なのである。風邪は人間中心的な計画のシステムの綻びたところに生い茂る自然の豊かなめぐりであり、自然と人工の両方の周期に影響を受けて作り出されるより高次の周期、高次の季節なのだ。風邪という移ろいを身体に宿しながら、人は今日も自然と社会と共に、たった一つしかない時間というものに自らの季節を証し立てるのだ。

戻る   Point(2)