地球光/大島武士
涼しい風が吹いた夕暮れ時
落ち着かない気分で 遠くの街へと行った
ユーラシア大陸の反対側で
18世紀に作られた音楽を聴きながら
行った事のない神社へと向かう
月の光に照らされて
初めての ありきたりの風景の中へ
人類はずいぶん前に 月へと足跡を残したけれど
僕はまだ行くあてもなく 青く輝く星の上を歩いている
小さな島国の上を
胸騒ぎを抱えたまま 夜の国道を一人歩いて
僕らの国の歴史の中に 埋もれた尺八の音を聴いて
無機質に暖かい道を照らす 月をいつも照らしている
地球光を想像している
ずっと昔に時を止めたような
田舎のレコード屋に入っては
古い未来が描
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