夕陽のように温かい物語 三篇/るるりら
す。
まあるい球のような御姿のまま
わたしを ただただ見つめて
珠さんは わたしを勇気づけて
帰えられました
わたしの心は なんとも ぬくうなりましたのや
ありがたいことです
【ひきだしにテラリウム】
花の都 タイスルルン
ここでは いきいそぐひとは いない
しにいそぐひとも いない
古びた店の奥で 年老いた店主が
アルコールランプで茶を沸かしている
看板の文字は古びていて読むこともできないが
永遠の春と云う意味だという
この店でも正月になると抽斗から段重ねになった丸い
餅のようなものを飾る
やわらかで
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