夕陽のように温かい物語 三篇/るるりら
 

を終う
抽斗の中にしまわれた丸い餅のようなものは
あたらしい年の笑いのために 今も
寝息をたてている



【ふりかえる距離】


みいちゃんは とことことこついてくる
おりこうだから とことことことついてくる
あのかどのまがりがどの 塀の上に
きれいに一列 どんぐりがならべてある
そこから むこうに ひろがる道へは
みいちゃんは まだ 行ったことが ない

みいちゃんのために アップルパイをやく
みいちゃんにあげられるほど じょうずに焼けなかった
かわりに 
あのかどのまがりかどの 塀の上の
どんぐりさんを ひとり ふやす
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