かぶと/島中 充
いつの間にか父は
石の詰め込まれた首だけになっていた
私はあわてて黒いごみ袋に父の首を押し込み
袋のはしをむすんだ
するとドスンドスンとまるいごみ袋は
飛び跳ねながら床を転がっていった
あわてて追いかけ
私はおおいかぶさって 腹の下に生首を抱き込んだ
おさえても おさえても 黒い袋が動くのだ
そんな夢を見た
家に帰ると 魚はとうに袋の中で死んでいた
えらの後ろから出刃を差し込み 頭を切り落とした
鼻から眉間に沿って 縦に出刃で頭をふたつに割った
私は それを箸でたたきながら 焼いて食った
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